入学式が始まる








「新入生入場。皆様盛大な拍手をお願い致します」




司会者の言葉を聞きながらちらりと体育館の扉を見ると沢山の新入生が綺麗に並んで歩いてきた





新入生すごい緊張してるな…
あ、あの子あまりにも緊張して右足と右手がそろってる





笑いそうになりながらも何とか堪えて拍手をしながら新入生をみた




わ……あの男の子の笑顔すごい




これでもかと言うくらい満面の笑みを浮かべて楽しそうに歩いてる





私にはそんな笑顔で入学する事は出来なかったよ……




その茶色い髪をした男の子をほんの少し羨ましく思った





















「学校長式辞」







……きた、校長先生のはなし
新入生の子達少しだるそう…?
まぁ、でも眠くなる事はないと思うな




「春の息吹が感じられ本日____________」




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「ふぉっ、ふぉ……では渾身の1発ギャグをやろうかの!」




うん、校長先生面白いんだよね、そこら辺のお笑いさんより凄いと思う。





くすくすと私の周りの生徒が小さく笑い始める中私は真顔でいた





そりゃ式典だもの、当たり前でしょう
すごい必死だけどね?
口が痙攣起こし始めてるよ。笑いをこらえ過ぎてもうぴくぴく

あっ、流石に一発ギャグは止められたみたいだね……校長先生すごい落ち込んでる

でも私は助かったよ……吹くところだったし





「……最後に、新入生の皆さん。改めて婀娜高等学校へのご入学おめでとうございます。
志を高く持ち、夢を現実すべく、日々、弛まず、高校生活を送れるように願って、式辞と致します」




校長先生のはなしのおかげで少し張り詰めていた空気は穏やかになったような気がする









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そして時間は経ち、入学式は終わりへと近づいていった

新入生を見守っている保護者達は嬉しそうにしてる人もいれば、感動してる人もいた







……幸せそう。









「____以上をもちまして、平成○○年度婀娜高等学校の入学式を終了致します」

「新入生が退場します。皆様盛大な拍手をお願い致します」






悲しげな表情を1瞬した後すぐに頬を緩ませて新入生へ拍手を送った