わたしは一生に一度の恋をしました

 母親の死によって知ることが出来ないと思っていた父親を知るどころか、姿を見ることができたのだ。

「良かった」

 その言葉に三島さんは驚いたのかわたしの顔を覗き込んできた。

「辛くない?」

 わたしは首を横に振った。

「真一と由紀の姉で、向こうには両親がいて、不自由ない生活を送っているのに。本当は君のお母さんと結婚していたはずなのに」

 三島さんはわたしのことを心配してくれているのだろう。そう思うだけでわたしの心は満たされていた。真一と由紀と異母兄弟と思うと変な気はしたが、嫌な気はしなかった。

「心配してくれてありがとう。でもわたしは自分のこと不幸だと思ったことなんてないよ。お母さんが亡くなったのは確かに悲しい。お父さんがいてくれたらよかったと思う気持ちもある。でも、わたしはお母さんにたくさん愛情を注いでもらったから、誰よりも幸せだと思っているの」

 わたしの言葉に三島さんは目を見開いた。そのとき、三島さんの口元が僅かに緩んだ。

「人目は気にするくせに、そういうところは本当に強いな」

「わたしより、お母さんのほうが数倍辛い思いしてきたと思う。自分の好きな人と想いが通じ合っていたのにも関わらず一緒に居られなかった。そしてその人は自分の友達と結婚して子供までつくっている。わたしなら耐えられないかもしれない」