「ということはあそこのお祖母さんもグルってことじゃない? あの人の旦那さんもいろいろ問題の多い人だったし。蛙の子は蛙ってわけよね」

 その言葉を聞いてわたしは愕然とした。

「千明ちゃんは悪い子じゃなかったけどね。そもそもあの子が産まれなければ千明ちゃんはこの町を出て行くことがなかったわけだし。別にあのときにあの子を産まなくても良かったじゃない? おろせばよかったのに。父親のない子を産んでも仕方ないわ」

 わたしはその言葉に思わず唇を噛み締めた。

「あの子が居たから苦労したのは確かね。みんなそう言っているわよね。そう思えば、あの子もあの子で可哀想ね。誰もあの子の出生を望んでいなかったのだから。あの子のお父さんだって、今更でしょう」

「そもそもお父さんのことがわかればここにいられなくなるんじゃないの? あそこの奥さん、怖いしね」

「それとお義父さんもね」

 彼女たちはくすくすと笑っていた。

 わたしは足音を押し殺し、来た道を戻っていった。

 わたし自身分かっていた。わたしが不幸の元凶だ、と。それを赤の他人に言われたことがショックだったのかもしれない。

 わたしの目からは自然と涙が溢れてくる。わたしは近くの木の影に屈み込むと、押さえきれなくなった涙が一気に体の外に出てきた。