「真一くんと一緒にご飯食べていたの?」

 わたしはなんともいえない威圧感に押されつつ、頷いた。
 彼女はわたしをきっと睨む。
 わたしはなぜ敵対視されているのかさっぱり見当もつかなかった。

「あなたって酷い人よね。わたしが彼のことを好きなのを知っていて彼に擦り寄って」

 そういうことか、と心の中で頷いた。だが、それを口に出すことはせず、彼女の言葉を否定した。

「そんなつもりじゃない」

 ただ一緒にご飯を食べただけでなぜそこまで責められるのか分からなかった。わたしも真一も互いに特別な感情を持っていないのは明白で、責められる理由は何もなかった。

 わたしは唇を噛み締めた。

「転校生って得よね。何もわかりませんって顔をしていたら、手を差し伸べてくれるんだもん」

「そういうくだらないこと止めとけば?」

 わたしと西岡さんの会話に別の声が紛れ込んだ。
 三島さんが頬杖をつき、呆れ顔で西岡さんを見ていた。

「こいつや真一が誰と飯食おうがこいつの勝手だろう。そんなに真一が誰かとご飯を食べるのが嫌なら真一に直接言えばいいだろう」

 三島さんの言葉に西岡さんは言葉を失ったようだった。彼女は潤んだ瞳で三島さんを睨み付けていた。

 だが、彼女の視線は直ぐにわたしに戻った。