太陽の光を右手で遮りながら天を仰いだ。今日は雲一つない良い天気だ。

 賑やかな中庭で一人の男性の姿を見つけた。彼は何かを考え込んでいるようだった。だが、その体制は体調が悪いと訴えているようにも見える。わたしは彼の傍に行き、彼を呼んだ。

「高宮くん? 大丈夫?」

 彼は僅かに身を震わせ、身体を起こす。彼の虚ろな瞳にわたしが映っていた。彼はわたしを見ると、頭を下げる。わたしがとっさに彼の体を支えようとしたときだった。

「腹減った」

 真一の言葉がわたしの耳に届く。わたしは真一の言葉に思わず笑ってしまった。わたしは先ほど売店で購入したパンのうち一つを真一に手渡した。

「これ、良かったらどうぞ。この前案内してくれたお礼。本当に助かったから」

 わたしの言葉に真一は笑顔を浮かべる。

「サンキュー。遠慮なく頂きます」

 真一はまるで子供のように目を輝かせる。もしわたしに弟がいたらこんな感じなのだろうか。

 わたしの瞳に先ほど間違えて購入した紅茶が映った。真一に訊ねてみることにした

「この紅茶飲める? 間違って購入してしまって飲んでくれたら有難いのだけど」