家に帰ると、おばあちゃんが玄関まで出迎えてくれた。彼女は心配そうな顔でわたしを覗き込む。

「学校は大丈夫だったかい?」

 わたしはおばあちゃんの言葉に頷く。

「途中で千恵子さんに会って、千恵子さんの家に寄っていたから遅くなった」

 おばあちゃんはああ、と頷く。

「それなら千恵子さんから電話があったよ。うちの息子に送らせますから安心してくださいって。それで将君は?」

「玄関前まで送ってくれると、そのまま何も言わずに立ち去りました」

 三島さんは優しげな笑みを浮かべていたにも関わらず、わたしの家の前に来ると、じゃ、とだけ言い残し、そのまま帰ってしまったのだ。

 彼の優しい笑みを見たからか、嫌な気持ちはほとんどなかった。

「そうかい。あの子は本当に優しい子だからね。ほのかもお上がり。ご飯出来ているよ」

 わたしはおばあちゃんの言葉に頷くと、玄関で靴を脱いだ。