「良かった。まずは校長室ですよね。参りましょうか」
由紀が歩くと彼女の細い髪の毛がふわりと揺れた。凛とした口調で話すのに冷たい印象を与えないのは彼女の笑顔と、柔らかそうな髪の毛のお陰なのかもしれないな。
わたしは不意にそう思い、早歩きで歩く由紀の後を追った。
わたしたちが校長室の前に行くと、由紀はわたしにその場で待つように言い残し、中に入っていった。
職員室の傍だからか生徒や教師がしきりにわたしの前を通る。制服もこの学校のものを用意したし、好奇心に溢れた目で見られることもなかったが、彼らと目が合うことはなんとなく避けたかった。わたしは視線の向ける先に困り、天井に目を向けた。
「お前、何組?」
突然呼びかけられ、わたしは声のしたほうを見る。するとそこには花火大会の日、わたしを送ってくれた男の人が立っていた。彼も同じ学校なのだろう。
「まだ分からないけど」
「多分同じクラスだよ。うちのクラスに女の転校生が来るって話になっているから」
表情を変えずに淡々と言葉を続けた。わたしは彼の様子を見て、高宮真一と間逆のタイプだとつくづく感じた。わたしもあまり話すのが好きでないからか、話をしない相手との会話では言葉に困ってしまっていた。
由紀が歩くと彼女の細い髪の毛がふわりと揺れた。凛とした口調で話すのに冷たい印象を与えないのは彼女の笑顔と、柔らかそうな髪の毛のお陰なのかもしれないな。
わたしは不意にそう思い、早歩きで歩く由紀の後を追った。
わたしたちが校長室の前に行くと、由紀はわたしにその場で待つように言い残し、中に入っていった。
職員室の傍だからか生徒や教師がしきりにわたしの前を通る。制服もこの学校のものを用意したし、好奇心に溢れた目で見られることもなかったが、彼らと目が合うことはなんとなく避けたかった。わたしは視線の向ける先に困り、天井に目を向けた。
「お前、何組?」
突然呼びかけられ、わたしは声のしたほうを見る。するとそこには花火大会の日、わたしを送ってくれた男の人が立っていた。彼も同じ学校なのだろう。
「まだ分からないけど」
「多分同じクラスだよ。うちのクラスに女の転校生が来るって話になっているから」
表情を変えずに淡々と言葉を続けた。わたしは彼の様子を見て、高宮真一と間逆のタイプだとつくづく感じた。わたしもあまり話すのが好きでないからか、話をしない相手との会話では言葉に困ってしまっていた。



