胸が高鳴ると同時に、締め付けられた。

 顔がどことなくやつれ、体の線が二回りほど細くなったように見えたからだ。

「久しぶり」

 三島さんは微笑んでいたが、以前のように顔を崩しては笑わなかった。彼の周辺でも大きな変化があったのだろう。

「久しぶりだね」

 わたしは唇を軽く噛んだ。

 三島さんはわたしの顔を見たまま話を切り出そうとさえしなかった。

 三島さんの口元は僅かに震えていた。

 きっと彼からはこの話を切り出しにくいのだろう。わたしは決意を固めた。

「由紀さんのこと聞いたよ。ついて行くのでしょう?」

 その言葉に三島さんは頷いた。

「由紀を一人にはしておけない。妹みたいなものだったから。彼女が落ち着くまで傍に居たいと思っている」

 わたしは頷いた。

「それが一番いいと思う。わたし、北海道の大学に受かったの」

「北海道? 県外の大学とは聞いたけど」

 三島さんは目を見開くとわたしを見つめていた。

 わたしは敢えて三島さんを見ずに言葉を続けた。

「向こうは広いからのんびりできそうだと思わない? 一度行ってみたかったの」

「寒いけど、平気か?」