「考え事か?『一人で何でも出来るんだな』って………社長の事?」


「あはっ、聞こえてた?」


「言えば聞こえる。」



奥寺に苦笑いで返した。



「社長って完璧な人って感じだよな。」


「奥寺もそう思う?」


「思う。何でも完璧な感じ。」


「だよね………。私なんか必要ないって感じ。」



奥寺と二人でオフィスを歩いていく。



「それは違うだろ。」


「えっ?」


「一緒にいたいから付き合う。別に何かして欲しいわけじゃない。」


「…………。」


「長嶺、またランチで。」



私に手を振り、奥寺が自分の部署に向かっていく。その後ろ姿をじっと見送る。



「長嶺、朝からボーッとするな。」



背後から私を追い抜いていく長野さんに小走りで追いかける。



「おはようございます、長野さん。」


「疲れは取れたか?」


「はい。」



私達は自分の席に各々腰掛けて仕事を始めた。