「なんか甘えてばかりで申し訳ない感じ。」


「社長って年も離れてるし、可愛くて世話を妬きたいのかも。」


「なんか馴れない。」


「そのうち馴れるんじゃない?社長は嫌々じゃないんでしょ?」


「うん。」


「なら、甘えとけば?」



あゆみが自分の部署に向かう後ろ姿を見送る。私も自分の部署へと向かう。



「甘えとけば……か………。」



小さな呟きが漏れた。


健人さんと二人の時、外食すれば健人さんが払ってくれるし、買い物も払ってくれる。


ご飯も作ってくれたりするし、お風呂上がりの面倒な髪も乾かしてくれる。


至れり尽くせり………って感じ。



「一人で何でも出来るんだな、健人さんって。」



そんな言葉がついポロリと口から出てしまう。



「長嶺?」


「奥寺、おはよう。」



同じフロアーの奥寺が背後から声を掛けてきて、思いっきり振り向いた。


考え事をしていたので少し驚いたのだ。