花菜のメールを確認し、店内に入っていく。


統合テストは無事に完了したと坂本から連絡を受けている。


花菜は解放感に飲み過ぎてないか心配だ。



「ははっ、そうなの?」


「長嶺さんは?」



花菜の笑い声が聞こえてきた。久し振りに聞く生声に鼓動が速まる。


電話越しには毎日聞いていた声だが、生で聞く声はやっぱり違う。



「私は好きかな。」



好きかな?


はあ?



俺は急ぎ足で花菜の声が聞こえるテーブルに向かう。


見えてきた花菜は笑顔でお酒を飲んでいた。俺は更に花菜に近づいていく。


花菜の視線が俺に向けられ、速まる鼓動が煩い。



「花菜。」



テーブルにいる男達の視線が突き刺さる。花菜は立ち上がり、俺に駆け寄ってきた。




「社長、お疲れ様です。」


「「「社長?」」」



ハモる声を無視して隣に立つ花菜の肩を抱き寄せる。男達の目が見開かれていく。



「花菜がお世話になっております。インペリアルウエストの二ノ宮です。」