ーーーーーーーーーーーーー


逃げられる。と、思ったのは一瞬だった


いつまで、こんなことが続くのでしょうか…


痛かった腕や顔の感覚は麻痺しているのか、今では何も感じなくなっていた


「ねぇ…、、何で、俺を見てくれない…?」


また、始まる


「俺は、君をこんなにも欲しているのに」


違う……貴方は、私が欲しいんじゃない


従順に従う"人形"が欲しいだけ


ちゃんと見ています。でもそれは、松坂さんという形を認識しているだけ


バシンッ


「ッ……」


何度も頬を殴られる


こんなにも痛みと恐怖を与える貴方を、貴方が言うようにどうしたら見れるんですか…


何度もなんども繰り返される暴力


でも決まって、


「ッ……ごめ、ごめんミイコ…」


殴った頬を震える指先で触れる松坂さん


そんな怯えたような瞳で私を見ないで


怖いのは私なの…


「アイツさえいなければ…」


少し前から、怖い顔でそう呟く彼は、いったい誰のことを言っているのでしょうか…


最初は敦士さんのことだと思ってた


でも、どうやら違うらしくて…


「ッ……」


首筋へ顔を埋めた彼に、無意識に身構えてしまう


これからされる行為に、どうしても震えてしまう


糸夜さん……


ずっとずっと頭の中にいるのは彼だった


この人と仲間の彼に助けを求めても、どうしようもないことだと分かってる


それでも、優しく抱きしめてくれた糸夜さんに、何故だか手を伸ばしてしまう…


「ッ……ンッ…」


「もう殴ったりしない。だから、もっと喘いでよ」


脚の付け根に指を這わせる彼に、また今夜も穢されるんだと絶望する


誰でも良い…


誰か、助けて…