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「お前、すげぇな!?」


瞳をキラキラさせる彼は、さっきまでの怖い人ではなくなっていた


"何を見た"


"吐かねぇと痛い目みんぞ"


ほんの少し前まではそうやって脅されていたけど、パソコンが再起動されていることに気付いた私は、怒鳴る彼からそれを奪い取って"対処"した


「ほんと、、悪かったな…
お前のおかげで、中身盗られずに済んだ」


本当ですよ?


あの時、リアルタイムでそのパソコンは遠隔操作されていて、対処が遅れていれば中に入っていたデータは抜き取られていたはずですからね…?


凄いでしょう?


「ッ…!///」


「………?」


「きゅ、急に笑うとか、、は、反則だろ…」


耳まで紅くした彼は、非常階段に腰を下ろした


意図的に笑わないつもりはないだけど、笑顔って自然に出てくるもので…


それは今みたいに、自分自身も気付かない時もあるわけで…


そんなに驚く程、私の笑った顔は変なのでしょうか…?


「こんな所で、何をしているんですか?」


「ッ…!」


聞き覚えのある、安定したこの声は…


眉間に深い皺を作った安藤さんが、上から降りてきていた


咄嗟に座り込んでいた彼の前へ回り込んで体を隠した


いえ、、もう既に意味の無いことなんですけどね…


安藤さんに見つかったということは、あの人…糸夜さんにも知られてしまっているだろうから…


「芦屋-アシヤ-様。社長がお待ちです。ご案内致します」


「お、おう。悪いな」


「いえ。何事もなく良かったです」


パタン


さっきのフロアへ戻っていく2人を、閉まる扉の間からボーッと眺めた


あの人、芦屋さんって言うんですね…なんて呑気に思っていれば、閉まったはずの扉が勢いよく再び開き、


「……社長は怒っていませんから、一緒に来て下さい」


問答無用で腕を引かれた