「絶てぇ捕まえてやる」


ブツブツとそう呟いた人は、このスーツの人たちの中で唯一ラフな格好をしている


そして、私と同様に誰にも気付かれていない…


何を、捕まえるのでしょう…?


そっと立ち上がって、彼のパソコンを覗いてみる


………ん…?


英数字と記号の羅列がもの凄い速さで画面を流れている


そして負けないぐらいの速度でキーボードを叩いている


私が覗き込んでいることに気付いていないのか、止まることなく指が動いていて、私もつられて見てみることに


あれ……


このパソコン、何かに感染してる…?


でも、、破壊はされていない様子


それなら、、中身が目的…?


あ…!!だから"捕まえる"なんですね?


「クソッ…キリがねぇ」


ダンッとenterボタンを押した彼に驚けば、私に気付いたようで口を大きく開けて固まってしまった


人の物を勝手に覗くなんて、失礼にも程がありますよね…


すぐに離れて頭を下げた


「……見たのか?」


「………」


「見たのかって聞いてんだよっ!」


「ッ……」


声を荒らげた彼が怖くて、意味もわからずに頷いた


ご、、ごめんなさい…


勝手に見てしまってごめんなさいッ


「チッ……こっち来いッ」


さっきの大声で気付かれたのか周りがざわつきだせば、パソコンを持った彼に腕を引かれ、すぐ横にあった非常口と書かれた扉の向こうへ連れていかれた