いつ着せられたのか、テロテロの肌触りの良い部屋着を脱いで、ボーダーのシャツに黒パンツへ着替えた


ベッド横に置いてあった見慣れたトートバッグに、私の私服が詰め込まれていたから助かった


敦士さんに急なお仕事が入り、1週間家を空けるから、糸夜さんのところで世話になれ。そう言われたけれど…


やっぱり帰りたい


ここには居たくありません…


無駄に広かった部屋を何とか抜け出し、エレベーターを早く来てと願いながら待つ


やっと乗り込めば、驚いた


表示された数字は45


ボタンの1番上の数字が、今、私がいる階


呆然としていれば、ドアが閉まり下へ降りだした


昨日とは違って、スケルトンではない、、


降りるところを間違えてしまったかな…?


思っていたよりも早く開いたエレベーターから降りれば、、


大人な人が沢山いるフロアの前に立っていた


これ以上、下へは行けないみたい…


すれ違う人に聞きたくても、とてもそんな雰囲気ではない


分厚い紙を見ながら歩く人や、電話しながら過ぎ通る人…


立ち止まってる人は見当たらなくて…


兎に角、邪魔にならないようにと端に寄った


どうしよう…


このままここに居ても、時間だけが過ぎていくだけですよね…


かといって、あんな大人な世界に飛び込む勇気もない…


部屋に居ないことがもし糸夜さんに知られたら…


ううん。きっと気付かない


朝だって秘書さんに伝言を任せて、自分は顔も出さなかったから


あんなに痛い行為をしておいて、謝罪もないなんて…


そもそも、どうしてあんなことを…?


優しかった糸夜さんは、本当にどこへ行ってしまったんだろう…、、


「あ"ぁ…!?何でこうなるんだっ?」


膝を抱えて座り込んでいれば、左横でノートパソコンを高速で連打する人が、いきなりそう叫んだ