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透明なエレベーターに乗り、上へ上がる


すぐ後ろを見れば、さっきまで乗っていた車がどんどん小さくなっていく


こ、怖い……


「大丈夫だ」


そう言って、私を抱き上げた紺野さんの首へ抱きついた


足がすくむ


この言葉の意味を、初めて知った


ポーン


やっと着いたのか、扉が開く音がした


「紺野様、お待ちしておりました。こちらです」


綺麗な、スーっと染み渡るような声が聴こえた


私は抱かれたままで良いのだろうか…?


ふかふかの絨毯


綺麗な装飾品


テレビでしか見たことはないけど、美術館みたいな絵も飾られている


こんな高級そうなビルの最上階にいる人って、一体どんな…


「随分と遅かったですね」


………え…?


この声は…


「てめぇに指図される言われはねぇな」


「やれやれ…困ったものですね、、
お帰り、美依恋ちゃん」


溜め息をついた彼は、そう私を呼んだ


"こっちを向け"と…


紺野さんの隣へ座り、対面する彼へ"ただいま"と口の形で伝えた


口は笑っているけど、瞳は全く笑っていない…


「失礼致します」


目の前に差し出されたカップには、真っ黒い液体が入っている


なんて、綺麗な人だろう…


紺野さんと私に珈琲を運んでくれたのは、スラリと背の高いモデルさんのように綺麗な人


これまた綺麗な動作で彼の、、糸夜さんの後ろへ立ったその人は、上品な立たずまいで私を見る


何だろう…


美男美女で、とてもお似合いな2人


だけど、、


胸の奥を鷲掴みされたような苦しいこの痛みは、何故なんでしょう…