「はい。じゃあ今日はここまでにします」と先生が言った途端、周りがザワついた


"今時、こんなの皆持ってるよね"


"でも、コレ新作みたいよ"


"うっそ!今度、彼氏と使お"


今時の女子って凄いですね…


私にとっては過激な内容だったソレ


1人1つ貰ったソレを、そっとスカートのポケットへ入れた


さっきまで矢継ぎ早に質問してきた間宮さんは、授業が終わってすぐに席を立った


私を睨みつける4、5人のお友達を連れて…


朗さんやミツキさんについて色々と聞かれたけれど、間宮さんが欲しかった情報は何一つ教えてあげられませんでした


何処に住んでいるのかとか、電話番号を教えてとか…


そこまで踏み込んだ話しをしているわけではないですし、そもそも知っていたところで個人情報を勝手に教えることは出来ない


のんびりと最後に視聴覚室を出れば、廊下に朗さんが間宮さん達に囲まれていた


さっきまで私を睨んでいた女子たちは、ふんわりとした可愛らしい笑顔で朗さんと話している


あぁ何だ、、


嫌われているのは、私だけなのですね…


朗さんとは逆の廊下へ足を向け、すぐ手前にあった階段を駆け下りた


胸の奥がチクチクする…


"嫌い"だと、あそこまで露骨にされてしまうと、何だか寂しくて悲しい…


初めてです、こんな気持ちになるのは…


敦士さんが言っていた事を思い出す


"学校は、楽しいだけじゃない。辛いことの方がいっぱいある"


侮っていました…


まさか自分が嫌われるなんて、思ってもいませんでしたから…


今日はもう、早く帰りたいです


何故だか朗さんにも会いたくなくて、足早に下駄箱へと向かった