まだ微かに痛む足


片足ずつに負担がかかる階段は、必然的にゆっくりな動作になってしまう


先生の所へは3日に1回のペースで消毒をしてもらっているから、少しずつだけど治ってきているのは知っています


最後の一段を登りきったところで、足が床から浮いた


「ッ………!?」


私の部屋へ入り、背中に感じる冷たい扉の感触


すぐ目の前には、、


「許さない」


さっきよりも怒りを露わにした糸夜さんが、私を睨みつけていた


怒らせて、しまったの…?


「許さないよ、美依恋、、
俺を嫌うことだけは、絶対に許さない」


「ッ……ッ!!」


な、に……


唐突に重なった唇…


トンと扉に後頭部がついた


「ッ……」


鋭い瞳はそのままで、私を見下ろしている


やめて、欲しい……謝るから、怒らないで…


ただの当てつけだった…


本当に嫌いになったわけじゃないんです


凛胴の会長さんと副会長さんにされた事が、ずっとモヤモヤと私の中にあって、それを同じ事をする糸夜さんに八つ当たりしてしまった


「ッ…ッン…」


顔の角度を変えた糸夜さんは、私の歯列を割って侵入してきた


ヌルりとしたそれで私の舌を絡め取り、舌の付け根を刺激された時、何とも言い難い感覚が付け根から全身に回りそうな、そんな感覚になった


ビリビリとしたそれは、ついには脳にまで到達し、一気に体から力が抜け落ちた


「ッ…ッハッ…ッ」


呼吸を気遣ってか、少しだけ開けてくれた唇の隙間からは卑猥な音が零れ出て、今この場から消え去りたいぐらい恥ずかしいし、苦しい…


力の抜けた私は、股の間にある糸夜さんの太ももで何とか体制を保っているけれど、当たっているその場所が、何故だか熱を帯びている


唇が誰かと重なるのはこれで2回目だけど、ほぼ初めてに近い経験に、未知の感覚


苦しくて、胸の鼓動が速いのか…


恥ずかしくて、身体が熱いのか…


これが"子ども"だと言うのなら、ご最もです


今まで平穏に過ごしていた私には、すぐには処理できない状況なのです…