天井が高く、だだっ広いここは体育館なる場所だそうで


既に凛胴高校の生徒達が、体育館にぎっしりと椅子に座っている


向こうにとっても戸惑いはあるらしく、本郷の私たちが入ってきたのを、ヒソヒソと話しながら見ている


あ、、


端の方に、他の先生達と並ぶ小雪先生を見つけた


呑気に私へ手を振っていますけど、隣にいる男性に凄く見られていますよ…?


先生は、少し…いえ、かなり変わった人ですけど、とても美人な方だから、見惚れられても納得です


凛胴の方達は、皆さん同じ制服を身にまとっていて、私服の私たちは何だか異端児のよう…


「それではこれより、始業式を始めます
まず初めに、凛胴校長からお話しがあります」


用意されていた所へ腰かければ、スーツをビシッと着た年配の男性がマイクでそう告げた


何故か最前列の真ん中に用意されていた私たちの場所からは、凛胴校長先生が真正面に見えます


そこからは、長い長い校長先生の有難いお話しをされた


「あのハゲ、話し長いよね~」


私の左横に座っていた香取さんが、小声でそう耳打ちしてきた


慌てて、香取さんの唇へ人差し指を当てた


「だってさぁ~、、」


凛胴の生徒たちに囲まれたこの場所で、学校の代表である人の悪口を言ってはいけないですよ…


周りの人に聞かれていなかったか耳を澄ませば、違った会話が聞こえてきた


"コクヒョウがいる"


"マジかよ……何でこんなとこに?"


"知るか……だけど、コクヒョウには逆らうな"


コクヒョウ……?


黒い豹、、の事…?


後ろからも、すぐ横からもそんなヒソヒソ話が聞こえてくる


私はそのコクヒョウが何なのか気になって、校長先生の話しが全く入ってきませんでした…