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「チッ…しつこい奴らだ」


「安藤、安全運転で頼むよ」


「はっ」


後方にいるであろう奴らを撒きながら安全運転をしろとは、普通のドライバーなら無理だ


だが、安藤なら卒なくこなすだろう


それよりも今、肝心なのは、、


「もう大丈夫だよ」


この小さな存在を隠す為にかけてあったコートを剥せば、まるで子猫のようにフーフーと毛を逆立てる彼女が現れた


………可愛い


本人にとっては、訳の分からないこの状況で混乱していることだろう


だが、俺に爪をたてる彼女ですら可愛いく写る


猫っ毛のふわふわした茶色い髪は、彼女の自前だ


グレーがかった色素の薄い瞳も、日本人離れした整い過ぎた彼女の美しさは、そこらのものとは比べようもない


俺から離れようと必死になる彼女を、いつまでもこうして抱きしめていたいが…


さっきから鳴り止まないスマホに耳を傾けた