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「口、開けな」


さっきから、ずっとこの調子…


目の前に差し出されたスプーン


そのスプーンには、彼がフーフーしてくれたグラタンが乗っていて…


凄く良い匂いがして、お昼ご飯を食べていないからか、お腹の音が鳴っていて恥ずかしい…


「仕方がないな…」


目の前から消えたグラタン


別に大丈夫です。知らない人から食べ物を貰ってはいけないって、小さい頃から敦士さんと猛さんに言われてましたから


「ッ……!ッッ…」


な、に……


目の前には、私を膝に抱えていたはずの黒髪の顔がドアップであって…


彼の舌が私の閉じていた唇を割って、冷めたグラタンを口の中へ入れられた


「ッ……ハァ…ッ」


苦しい…


噛む間も与えてくれず、息苦しさにグラタンも飲み込んでしまって、もう口の中には何も無いはずなのに離そうとしてくれない…