真っ黒い車に乗せられて、私は何処へ連れていかれるのでしょうか…


バニラビーンズも包装紙も買えていないのに…


「ねぇ、何て名前なの?」


私を膝の上へ乗せて、さっきからそう聞いてくる黒髪に、フイッと顔を背けた


私を無理やり何処かへ連れて行こうとする人の言う事なんて、聞いてあげませんっ


それにしても……


もう20分は走っているはず……歩いて帰る頃には日が暮れていそうです…


敦士さんも、猛さんにも心配をかけてしまうから、この車を降りたらタクシーを頼んでもらおう…


勝手に連れ出したんだもの、それぐらいはしてもらわないと、ね…?


「おい、てめぇの名前ぐれぇ名乗れ」


斜め前に座る金髪に、怖い顔でそう言われ、吃驚して黒髪の肩へ顔を隠した


何も知らない2人だけど、何となく黒髪の方が優しい気がして…


「よしよし。怖かったよね?ちょいと椿…女の子には優しくしなさい」


「てめぇに言われたかねぇわっ」


更に大声を出す金髪に吃驚して、頭を撫でてくれている黒髪へしがみついた