君の声が、僕を呼ぶまで

さっきから、何度も言い返そうとしては、言葉が出てこないようだ。


「あの2人が、こういう展開になるって、予想してたんじゃないの?」

「え…?」


「だから、2人の声が廊下から聞こえた時に、覗き見しようって、入ってくる前に隠れたんだろ」

「違う…!」


本当は、そんな子じゃないって知ってる。

でも、思春期に咄嗟に出てしまう行動なんて、大人が思いもしてなかった方向から、更にその斜め上の事ばっかりだ。


「小春ちゃんの時は、俺とほのぼの話してるとこ見ちゃってごめん、的な軽い感じだったのに、桜子もやっぱお年頃だよなぁ」


「違うってば!!」


真っ赤だった顔が、怒りを孕みだしたのか、少し青くなってきた。

ちょっと、いじめすぎたかな…。