君の声が、僕を呼ぶまで

「ち、がう! 大体、私の方が先にここに来てたんだし…!」

「じゃあ、何でこんなとこに隠れてるの?」

「そ、れは…」


また、口をぱくぱくさせている。

カーテンの布越しでも、体温が上昇しきっている事がはっきり感じ取れる。


「冬島君と夏野さん、神聖な保健室で、あんな事を…ねぇ?」

「っっ…」


「よくある漫画とかだとさ、もっと過激な事を目的に、保健室に忍び込むカップルもいるみたいだけど…夏野さん、怪我してたね」

「そう、みたいだったけど、だから何? …だからこそ、保健室に来るのは問題ないじゃない…」


「うん、だからさ、消毒目的で2人は来たはずなのに、何で先にここいいた桜子が、2人から逃げるように隠れたのかなって」

「……っ」