君の声が、僕を呼ぶまで

後ろからカーテンごと抱きしめると、やっぱり、中に人がいた。

やっぱり、中に、桜子がいた。


あぷあぷと、桜子が、隙間から顔を出す。

「雪…塚原せん…っ」


何だ、やけにこう…慌て方がおかしい。

ビックリしたというよりは、何かを隠したがっているような…。


「あぁ、なるほど…」

「な、に」

「覗きとは、感心しませんねぇ、植木さん?」

「っっっ!!」


耳まで赤くしているのは、俺が抱きついているからじゃない。

口を押えて息を殺していたんだろう。

酸素を求めるように肩と足が小刻みに震えている。