君の声が、僕を呼ぶまで

だけど、彼は、ずっと私の事を見ていたって言った。


入学式の時の、怪我した雛鳥。

雪人先生が、消毒してくれたけど、その後、すぐに死んでしまった。

巣から落ちて、親兄弟に見捨てられて、死んだ雛鳥。

クラスから弾き出されて、友達と思っていた人達すら敵になってしまった自分と重なった。


雪人先生は、とても心配して、泣いてる私の傍にいてくれた。

雛鳥の思い出は、私と雪人先生の世界の事だけだった。


そう思ってたけど、飯田君が持ってた、黒ネコ柄の絆創膏は、まぎれもなく私の物だった。

手繰り寄せた記憶の中の男の子の顔は、とてもボンヤリしていて。


でも、私がつけた手の平の引っ掻き傷だけ、赤く鮮やかに蘇った。

私は、人に傷付けられた事は覚えているのに、人を傷付けた事は、忘れてしまってたんだ。