君の声が、僕を呼ぶまで

そうなんだ。

悲しい気持ちと同じくらい、寂しい気持ちがある。

これから先、ずっと、空のいない世界を生きていかなきゃいけない。

小さな妹に、俺は何もしてやれなかった。


その時、ふと、おでこに何かが触れた。

桜子の唇だ。


「空ちゃんがね、『雪兄ぃがこうやってくれると、安心するんだよ』って言ってた」

空に似た目で、そう言う。


「雪兄ぃが安心できるまで、私が空ちゃんの代わりに、お返ししてあげるから」

桜子は、この時から空を真似て、俺の事を『雪兄ぃ』と呼ぶようになった。


桜子は、俺が泣き止むまで、懸命に空の真似事をしてくれた。

そして俺は、空の代わりに、空の夢を叶えようと思ったんだ。