君の声が、僕を呼ぶまで

「だから、陽ちゃんは、この人!」

絵本の中で、お姫様の隣に仕えている人を指差した。

「陽太君は、華ちゃんの騎士(ナイト)なのね」

「騎士?」

「そう、お姫様を守ってくれるのよ」

「じゃあ、陽ちゃんは騎士!」



それからは、事あるごとに、「陽ちゃんは華の騎士」って言い続けてる。


何やかんやで、小さい頃から、一番一緒にいるしなぁ。

華が具合悪くて学校休んだ時はプリントを持ってきてくれてたし。

やっぱり何回か、入院する事はあって、お見舞いにも来てくれた。

道端に咲いてる何だか名前もよく分からない花をちぎって、そのままお見舞いに持ってきてくれてたなぁ。


でも学年が上がるにつれて、前みたいにベッタリ一緒に行動する事は減ったし、当然クラスが違う時もあった。

好きな男の子も、それなりに何回か出来たし。