「先生、あの子、誰?」

華の『誰?誰?病』が始まったと思ったけど、いつもより、何だろう、声が重たい気がした。


「あぁ、そうだね。相川小春さんだよ。これから山崎さんもしばらくは、保健室で一緒に勉強したりして過ごすんだから、仲良くしてね」

「ふぅん…」

「ふぅんじゃなくて、はい、だろ」

俺は、まだ訝しんでいる華の頭にチョップをした。

「いったぁ、陽ちゃんのバカ!」

涙声で訴える華を無視して、彼女に話しかける。


「相川…さん? ちょっと騒がしいヤツだけど、華と仲良くしてやってな。俺もしばらく送り迎えに来るから、よろしく」

その子は、華とはちょっと違ったタイプの警戒心を見せていたが、それでも、小さく頷いてくれたので、俺は安心した。

塚原先生も、どこか驚いたような、でも安心したような顔をしている。


「じゃ、俺、教室行くから」

「うん、ありがとー」

「あ、そうだ」