君の声が、僕を呼ぶまで

どこって…


「俺、男前だ…よな?」

「…」

「……」

「………顔は、悪くはない、と思う」

「…うん、今のは俺が悪かった」

「よろしい、以後、精進するように」

「なんだよ、それ」


そんなやり取りをしているうちに、校門が見えてきた。

たくさんの生徒達が、吸い込まれるようにその中へと入っていく。


そんな人混みの中でも不思議なもので、何故だか見つけてしまう事が出来る。


あそこにいるのは…沙羅だ。

朝から会えるなんてラッキー。


「おーい、さ…」

「…陽ちゃん」


華が、俺の制服の裾を掴んでいる。

さっきまでの威勢の良さはどこへやら、下を向いて、歩を進める事を渋るような顔をしている。

そっか、そうだよな。

だから、校門をくぐる為に、俺が必要だったんだ。

せめてちゃんと、騎士の役割くらいは果たしてやらないと。