君の声が、僕を呼ぶまで

「ほほぅ、では、お姫様は学校ではどうするおつもりで?」

「学校に着いたら、華の王子様はちゃんといるもの」


ちょっと意外だった。

確かに昔から、惚れた腫れたで、その度に大騒ぎしてたけど。

中学に入った頃からかな、一応、お互いに思春期に突入したわけだし、そんな話をする事も少なくなった。

だから、昨夜、『彼女がいる』って華に言うのが、何だか変に気恥ずかしかったのもある。


あれ、でも、休みがちなうえに学校の往復ばかりの華の行動や交友関係なんて割と限られてるし、いつの間に、そんな『王子様』って呼べるようなヤツが?


「ちなみに、誰?」

「え、陽ちゃん、華の王子様が誰なのか気になるのぉ?」

「言わなくてよし」

「うわぁ、可愛くない」

「お前もな」


顔だけは可愛いだけに、やたら腹立つ。