君の声が、僕を呼ぶまで

「えぇ…今更お前にダメ出しくらうの?」

「そーだよ。女の子は前髪を5㎜切った事に気付いてくれる男の子に惚れるもんなの!」


「何その持論…大体5㎜なんて気付かねーよ」

「だーかーらー、それも男の子は、惚れてる女の子の事なら気付くもんなの!」


ほんと、何だ、その持論は。

どこの恋愛マニュアル本から引用してきたんだ。


「じゃあ、仕方ねーな。俺、華に惚れてないもん」

「華だって、陽ちゃんに惚れられたくないし」


「お、そんな事言っていいのか? 昨夜『陽ちゃんがいないと学校に行けなぁい』って泣き付いてきたのは誰だよ」


ここらで少し反撃しておかないと、調子に乗られても困るからな。

「泣いてないし! それに…」

「それに?」

「陽ちゃんは、華が倒れないように、送り迎えしてくれる騎士(ナイト)でいいの!」