伸ばした手は彼に触れることなく宙を切り



彼との思い出は思わぬ形で消えていった。



それはまるで、手のひらからこぼれ落ちる砂を必死に止めるように



…無駄だと分かっているのに。



消えていかないでと願っても手のひらから落ちた砂はもう二度と手のひらへ戻ることは無い。



彼の記憶もそうなのだろうか。



1度欠落した記憶の欠片は意味なんて何も示さない。