『なんだ、なんも言えないじゃん。

お前って、偽善者なんだな』


“偽善者”

偽物の、正義。



『お前、ただ自分が正義の味方になりたいだけだろ。

この偽善者』

『そうだそうだ!この偽善者!』

『偽善者!偽善者!』



男子の取り巻き達も加わり、私に“偽善者”という言葉を言い続ける。



違う。

私、そんなのじゃない。


偽善者なんかじゃない。

違う。違う。違うもん。違う、違う…………。


でも言えない。

どうして人を傷つける行為がダメなのか。

私が偽善者ではないという説明も、できない。