しかし、ここも特にあやしいところはなかった。


「次の部屋も、調べて構わないか?」


俊秀が紫織ちゃんにたずねる。


「ええ、いいわよ。

それどころか、全ての部屋を調べていいわよ。厨房以外ならね」

「どうして、厨房はダメなの?」


私がたずねる。


「厨房は、衛生面がとても厳しいのよ。

私ですら、入るといつも怒られるんだから」


へぇ…あの執事さんも、怒るんだ。

とても優しそうなおじいさんなのに。


そのとき。

玄関の扉を、強く叩く音がした。