「なあ、ちょっと屋敷の中を見せてもらえないか?」

俊秀が、紫織ちゃんに言った。


「ええ、構わないわ」


変わらない笑顔で、紫織ちゃんは頷いた。


まずは一階。

食堂とは反対の奥の図書室から。

図書室には、当たり前だけれど、たくさんの本がある。


児童向けの絵本に、大人が読むような難しい経済学の本、それに小学校二年生から高校三年生用の参考書もある。

辞書も、日本語はもちろん、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、中国語…とたくさんの種類がある。


もしかしたら、私達の学校の図書室よりも、たくさん本があるかもしれない。


俊秀は、壁と接している本棚を調べ始めた。


「ど、どうしたの俊秀」

「こういうのって、大抵本棚を動かせば、秘密の隠し扉が現れたりするんだよ」

「で、でも……」