｢ね、八衣(ヤエ)はどう思う？？｣


希夏ちゃんが、今度は私のところへやって来て、たずねる。

｢うるさい、バーカ。

敏みたいに親の肩書きをあたかも自分の力のように錯覚しているような勘違い大バカ野郎と、

アンタみたいに敏に媚び売る奴の方が、私は嫌いだから、消えてほしいかな？

この害虫どもめ！｣

と、私がバカで正直な子ならこう言うのだけれど、私はそんなバカでも正直な子でもない。


｢そうだねー。私も、希夏ちゃんと同意見かなー｣


私も希夏ちゃんと同じように、自分より力のある者に媚を売るタイプ。

だって、それがこの学校という狭い社会で生きていく術だから。


｢でも、単純に、どうして南形さんがあの館に行ったのかは気になるなぁ。

だって、あの人すっごく真面目な人じゃん？

なんかあったのかなぁ｣


私がそう言うと、


｢さぁ？知らない｣


と希夏ちゃんは言って、また敏のところへ戻っていった。