「噂は、どうやら嘘だったみてぇだな」

と敏が水を飲みながら言う。


「あっ……」

「どうしたの、八衣」

茉美が私にたずねる。

「さっきの執事さんに、お礼を言うの忘れてたや」

「お礼……?

ああ、料理のお礼ね。

それなら、また会うでしょ。多分」

「そうだね。

そのときに言おうっと」


そう言って、私は再び料理を食べ始めたのだった。