敏がそう言うんだから、仕方ない。

私達は、それぞれ適当に椅子に座った。

無駄に豪華な装飾の椅子は、なんだか座り心地が悪い。


「見て、八衣」

茉美が、テーブルに置かれたフォークとナイフを手に取って見せる。

「これって、金じゃない?」

「え!金!?」


私は、思わず聞き返した。

確かに、この椅子といい、この料理といい、どれも豪華で、紫織がお金持ちであることがうかがえるけど...金でできた食器って!


「へぇ、金の食器ねぇ...。

でもこういうのって、普通は銀じゃないか?」

と唯也が言う。

「え?どうして?

金の方が豪華な感じするじゃん?」

という希夏ちゃんの質問に対して、敏がため息混じりに答える。


「バーカ。

銀の食器のほうが、口当たりがいいんだよ」