「わ、私は……八衣って言うの」

「ヤ、エ………?」

「そう、数字の八に、衣服の衣って書いて、八衣」


そう言って、私は空中に指で自分の名前を書く。


「あなたは?」


私が女の子にたずねたその瞬間。


「お嬢様、何をしていらっしゃるのですか」


執事服を身に纏った、年老いた白髪交じりの老人が現れた。


「じいや」

「お食事の時間はまだですよ、お嬢様。

おや、そちらの方は………?」

「私のお友達よ、じいや。

八衣っていうの。

さっき知り合ったのよ、ね?」


と、女の子は私の顔を見上げてにこりと笑う。

ね?って言われても……さっき知り合ったばかりなのに友達って……。

しかも、いきなり呼び捨てって...。