「なん………だと………!」

相模が、敏に殴りかかろうとするが、敏は相模から奪ったナイフを相模の鼻先に向けた。


「ぐっ………うぐっ…………」


相模が、涙を流した。

自分と自分の祖父をバカにされた悔しさと、敏に殺される恐怖から流れる涙だ。


「次、殺されるのは八衣じゃなくて、お前だな…相模」

ナイフを徐々に首元に近づけながら、敏は相模に言う。


「なっ、なんで………!?

や、やめろ…俺を殺すつもりなのか!?

殺すな!俺を殺すなああ!!」


泣き叫ぶ相模の顔は、涙と鼻水と涎でグシャグシャになっていた。


「お前を殺すのは俺じゃねえよ。


お前、自分で気付いていないのか?

今、俺に殺される恐怖に囚われ、自分と自分の祖父をバカにされたことで悔し涙を流し、そして絶望しているお前は……。






“食べ頃”なんだよ」