敏が……この館の主人の息子!?

それってつまり、殺された紫織ちゃんのお父さんの息子ってことで…。

「嘘…じゃあ、敏と紫織ちゃんは…姉弟!?」

「あー…違う違う。

正しく言うと、俺は“新しい”この館の主人の息子だ」


首を振りながら言う敏。


新しい…この館の主人…!?


色々なことが立て続けに起きて、私の脳内で処理することができない。


「それって……どういうこと…?」

「お前、本当にバカだな。

つまり…俺の父親が、今のこの館の主人なんだよ」

「え…!?」


敏は過去の話を語り始めた。


「俺の父親が二十五歳のとき、たまたまこの館で囚われている紫織の姿を二階の窓から見た。

父親は、紫織に惚れたんだ。

この白い肌と、黒い髪、そして儚げで今にも消えそうな存在に」


確かに、異常な環境で育ったけれど、キレイな顔立ちをしている紫織ちゃん。

一目惚れしてしまっても、おかしくはない。


「父親は、この館の窓から見える紫織の姿を見ることが、日課だった。

しかし、ある日その窓が血色に染まっているのが見えた」


コックさんが館の人を殺したときのことか…。

窓が血色に染まるなんて…一体、どれほど凄惨な光景だったのだろうと少し想像したところで、私は気分が悪くなりやめた。