「まさか……」


「そう、そのまさかだよ」


ある人の声がした。

聞き覚えのある声。

私達が、ずっといじめていた男の声だ。



「相模………」

「あはは、驚いた?

俺は、この館で働いていたコック…相模庸一の孫なんだ。

俺は、じいちゃんからこの館の話をたくさん聞いていた。

じいちゃんはある日この館でクビにされてしまったことまでは聞いていたけれど、その後館の人間を紫織お嬢様以外殺したことまでは知らなかったけどな。

じいちゃんは、俺に料理のことをたくさん教えてくれたよ。

それで、料理も上手になった。

俺は、料理することが大好きになったんだ。


俺は、俺にたくさんのことを教えてくれたじいちゃんが大好きだった。


だけど、五年前…じいちゃんは死んだ。

自殺したんだ。
首を吊って…。

第一発見者は俺。

俺は、じいちゃんの足元に手紙を見つけた。

それは、遺書だった。