館に来たのよ…クビになったはずのコックさんがね…。


コックさんは、館の人間を次々と殺したわ。

じいやだけじゃない。

他の執事も、メイドも、お父様も、お母様も……。


みんなみんな、殺したわ。


だけど、私は殺されなかった。

彼が、私のことを愛していたからとか、娘のように思っていたからとかじゃない。


彼は……私に絶望を与えたかったのよ。

私のせいでコックを辞めることになってしまった彼は、私のことを恨んでいた。

だから、私以外の人間を殺すことで、私を恐怖と絶望のどん底へ突き落としたかったのでしょうね。