そう言われて、私は自分の服を見た。

今朝来たときと特に変わらない服。

あのとき、本当に執事さんを刺したのだとしたら、確かに返り血がついているはずだ。

それなのに、私はパニックになっていてそんなことすら気付けなかった。


でも、私は確かにあのとき執事さんをこの手で殺したんだ。

なのに、なんで…どうして?



「あなた………化け物なの?」


私はそう言った。

そうとしか思えなかった、刺しても血を流さない、殺しても死なない執事さんのことを。


すると、執事さんは笑った。


「化け物は、私というよりお嬢様のほうでしょうね…。

そんな化け物を育ててしまった旦那様のほうが、もっと化け物ですけれど。


そんなことはさておき…。


あなた、見たのでしょう?あの部屋にあった写真を……」


あの部屋にあった写真というのは、おそらく隠し部屋の紫織ちゃんの写真のことだ。