「怖いのか?」


敏が笑う。


「………別に」


私は意を決して食料庫の扉を開いた。

食料庫の中は昨日と同じで暗かったので、私は電気のスイッチを点けた。


「バッ、何してんだよお前!」


そう言って、敏が電気を消す。


「何言ってるの?暗くてよく見えないじゃん」

「バカかよお前。

元は電気が点いてなかった部屋が、電気が点いていたら怪しまれるだろうが」

「大丈夫だよ、昨日だって執事さんが来たけれど、電気の消し忘れだって勘違いしてくれたし」

「昨日はよかったとしても、二日連続だとさすがにあのジーサンも怪しむだろ。

こういうときは電気じゃなくて…」


そう言って、敏がリュックの中から懐中電灯を出した。


「あ……だから昨日、準備がどうのこうのって言ってたんだ」

「当たり前だろ。

ていうか、お前は手ぶらだけど……なんか持ってきたのか?」