敏は呆れながら、ノックなしで扉を開いた。

「よし、玄関付近には誰もいないな」

私達は、館の中に足を踏み入れた。

私が先導して、厨房へ向かう。

厨房の扉を少しだけ開き、中を覗き見る。


料理担当のジーパンの男は、どうやらいないようだ。


「入るよ」

「おう」


そのまままっすぐ、例の食料庫へと向かう。


「ここに、茉美の頭と相模の脚があるんだな?」

「そうだよ」

「そういえば、茉美の頭はともかく…どうして脚が相模のものだとわかったんだ?」

「傷だよ」

「傷?」

「相模をここに連れて来た日…敏が学校で相模の脚をカッターナイフで切り付けたでしょ?

その傷を見て、わかったの」

「へえ」


私は、食料庫のドアに手をかける。

怖い…。

また、あの光景を見なければいけない…。