翌日の朝八時前。

私は、館の前に立っていた。


生ぬるい風が私の顔を撫でた。

空はどんよりとしていて、今にも雨が降りそうだ。

空気が湿っていて、気持ち悪い。



約束の八時きっかりに、敏は館の前にやって来た。

敏は、少し大きめのリュックを背負っていた。


「…本当に、ちゃんと来てくれたんだね」

「ああ、俺が言い出したことだしな。

それじゃあ、入ろうぜ」


そう言って、敏が玄関の扉をノックしようとした。


「ちょっと待って」

「なんだよ?」

「ノックしたら、私達が来たって気付かれちゃうじゃん!」

「それがどうしたんだよ?」

「ここには、殺人鬼がいるんだよ!?

気付かれたら、殺されちゃうよ!」

「でも昨日はあの執事と一緒にいたじゃねえか」

「そうだけど…でもダメ!」

「はぁ…わかったよ」