館からずいぶん離れたところで、やっと敏の手を振り解くことができた。
「どうして、私を館から帰らせたの!?
あの中には、希夏ちゃんと俊秀が……それに、唯也もまだいるかもしれないのに!」
「“まだ”って…どういうことだ?」
敏がたずねる。
「あの館は危険なの!
あそこで作られた料理はすべて………人間の肉で作られていたの!」
「人間の肉だと?」
「そう、あの館に来た人を殺して…。
食料庫に、茉美の頭があったの…………それに、相模の脚も……………。
あの館に行ったきり帰ってこないっていう噂の南形先輩も、きっとあの館の主人に殺されたんだよ!!」
私がそう言うと、敏が少し黙り込んで、
「なら、館から出て正解だったな。
あの館には、殺人鬼と食人鬼がいるんだぞ。
お前だって、もう少しで殺されるところだったかもしれない。
よかったな」