コックさんは何も言わず、私の頭を優しく撫でた。


十分ほどして、私はようやく泣きやんだ。


そして、コックさんが口を開いた。


『最近、お嬢様が厨房に来ないので、心配で執事にたずねたんです。

そしたら、お嬢様が旦那様に一週間食事抜きと仰ったと………。

それで、急いでおかゆを作って、ここに来たのです』

『そう………ありがとう………………』


私は、唇を必死で動かしながら、コックに言った。


『これからは、私が食事を持って参ります』

『それは……やめて……』

『!

どうしてです!?


さっきだって、とてもひどい状態で………。

私がおかゆを持って来なければ、お嬢様はきっと死んでしまっていたのですよ!?』

『だって……。

また、たくさん食べたら……………太ってしまう…………。

またお父様に怒られて、また食事抜きにされてしまう…………』

『ですが…食事をしなければ、きっと餓死してしまいますよ!』